2007年5月21日月曜日

光母子殺人の差し戻し控訴審、24日から注目の審理開始

光母子殺人の差し戻し控訴審、24日から注目の審理開始(読売)

 山口県光市で1999年に起きた母子殺人事件で、殺人や強姦(ごうかん)致死などの罪に問われた元会社員(26)の差し戻し控訴審の初公判が24日午後、広島高裁で開かれる。最高裁は昨年6月、2審・広島高裁の無期懲役判決を「量刑は不当」と破棄して差し戻しており、今回の裁判では死刑判決が言い渡される可能性が高い。18歳1か月で犯行に及んだ被告に死刑を回避すべき事情があるのかが焦点で、少年の凶悪事件に対する厳罰化を求める世論の高まりのなか、注目の審理が始まる。

 「計画性のなさや少年だったことを理由にした死刑回避は不当で、破棄しなければ著しく正義に反する」

 最高裁判決は裁判官4人の全員一致の意見だった。

 最高裁は83年、4人を射殺した永山則夫元死刑囚(犯行当時19歳)の第1次上告審判決で、死刑選択に考慮すべき基準として9項目(永山基準)を挙げた。これ以降、被害者の数と、被告が少年かどうかが重視され、少年事件での死刑確定は永山事件と同様、被害者4人の市川一家殺人事件(92年)などわずかだ。

 最高裁が戦後に2審の無期懲役判決を破棄し、差し戻したのは永山事件など2件しかなく、いずれも死刑が確定している。

 差し戻し審について、土本武司・白鴎大法科大学院長(刑事法)は「1、2審で更生の可能性があるとした被告に死刑が言い渡されれば、厳罰化の流れが加速する」と話す。

 弁護団は今年2月の記者会見で「殺意はなく、犯行様態も違う」と、最高裁が認めた事実に反論する姿勢を示した。独自に実施した「精神鑑定」など三つの鑑定の証拠採用を求める。被告人質問で反省の深さや矯正教育による更生の可能性を立証する。検察側は事実関係での立証はなく、弁護側の主張に反論する構え。死刑の相当性を述べ、遺族の証人尋問をして情状面を訴えるという。

 裁判は6月に被告人質問が行われる予定で、早ければ年内にも結審する見通しだ。

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